各膜厚測定器の原理と特長について

各膜厚測定器の原理と特長について
メーカー
θ Metrisis (ThetaMetrisis) 膜厚計
型番
FRシリーズ
分野・用途
膜厚測定

各種膜厚測定の手法やそれらの特長について解説します。

膜厚測定器とは

膜厚計とは、塗膜やフィルムのなどの薄い膜の厚さを測る測定器です。
薄膜や塗膜と呼ばれるものは身近なものでペンキやツヤだし塗装、車のワックスコーティング、メガネの曇り止め、歯のフッ素コーティング、壁面の防汚コーティング、テレビや窓ガラスの反射防止コーティングなどがあり、フィルムではサランラップや食品包装フィルム、スマートフォンなどの保護フィルムなどがあります。いずれもナノメートルやミクロンレベルと非常に薄すぎて一般的な定規で測れないものばかりです。「塗る」「コーティングする」に携わる方は一度はその厚さについて気にされたことはあるのではないでしょうか。膜厚は用途によっては厚過ぎても薄すぎてもダメで「適正な厚さに仕上がっているか?」を確認する必要があります。特に産業界では製品の機能性確認のために膜厚測定がされるほか、必要以上に厚く塗装してしまった場合、品質低下の可能性もあるほか原材料を無駄にして損失も発生させてしまった!という事例もあるようです。
膜厚測定には様々な測定器や手法があります。1台の測定器・1つの測定手法でどんな膜の種類でも厚さも測定できる万能的な測定方法はないといわれており膜種や厚さに応じて最適な膜厚測定器や手法を使い分けることが一般的となっています。ここでは各測定器や手法の紹介に加えて各膜種に応じた最適な測定手法の選び方をご紹介します。

非接触による膜厚測定<光学式>

広波長領域の光を測定対象物に照射し、膜からの反射光を解析することにより薄膜の厚さを測定します。光学式のメリットは非接触かつ非破壊で測定でき実製品を測定できることにあります。光学式測定法はエリプソメーターと反射率分光法(リフレクトメトリー)と大きく2つあります。ただし光学式も上述したように万能な測定器ではありません。概ね下記3つを満たすことが必要になります。
膜が光を通す材料であること。光学式なので膜が光を通すことが必要になります。しかし光といえば可視光を想像しがちですが紫外光でも赤外光でも構いません。

膜表面や基材の表面が粗くないこと。反射ですので光が返ってくること狙ったセンサ部へサンプルからの光をあててあげることが必要です。光もデコボコした表面にボールを落としたらどこにいくかわからないのと同じイメージになります。

界面に屈折率差があること。光は屈折率が異なる界面を進む場合に反射という現象が起こるといわれています。サンプルは一般的に大気中にありますから膜の表面反射は空気との差で反射しますが、膜と基材の界面に屈折率差が小さいと反射が起きません。例えば、石英ガラス上に成膜したSiO2膜の厚さを測定したい場合、屈折率が非常に近いので測定が難しいです。逆にもしこの石英ガラスにITOと呼ばれる透明電極がついていたら、SiO2とITOの屈折率差はおおきいのでSiO2の厚さ測定はしやすくなります。
<反射率分光法>
反射率分光法は測定対象物に光を垂直に入射させ反射した光を分光測定します。
上記のエリプソメーターと比べ、反射率分光法の測定機はエリプソメーターと比較しスキルを必要とせず、取り扱いが簡単でスピーディーに測定ができます。
<エリプソメーター>
測定対象物に対して光を斜めに入射させ2つの偏光を測定することで、反射率分光法よりも優れた測定が可能です。
精度が良い分薄い膜の測定や多層膜の測定に有効ですが、瞬時に膜厚が求まるものではありません。パラメータが多くアルゴリズムが複雑で計算に時間がかかります。

接触による膜厚測定

接触式はその名の通り接触して測定する手法で簡便ですが実製品を傷つけず或いは接触させず非接触で測定したいという場合は不向きです。
<触針式>
いわゆる段差測定です。膜があるところとないところに針をなぞらせその段差を測定することでその膜の厚さを測定する手法です。段差があれば概ねどの膜種の厚さ測定可能ですが逆でとらえると段差がないと測定できないことや糊などの粘着膜が測定できないなどが挙げられます。
AFM(Atomic Forth Microscopy)を使えばナノメートルの厚さ測定ができます。数ミクロンから数百ミクロンレベルの厚さ測定を得意とする手法です。
<マイクロメーター>
膜があるものと無いものの試料をそれぞれ挟んで測定し、それらを引き算することで膜厚を算出する方法です。マイクロメーターは分解能が低いので、ナノメートルレベルの測定分解能や精度を求めるのには不向きです。
<電磁式>
電磁プローブを膜の表面に当てて、磁束密度の変化による電磁石を流れる電流から膜厚を測定します。膜の厚さが薄いほど電流値は大きく、厚いほど電流値は小さくなります。この方式では基材が磁性体、膜は非磁性体である必要があるため、測定できる試料は限定されます。
<渦電流式>
電磁誘導の原理により、コイルの入ったプローブを膜の表面に接触させて、通電させたときに発生する渦電流より膜厚を測定します。膜の厚さが薄いほど渦電流は大きく、厚いほど渦電流は小さくなります。この方式では基材が非磁性体、膜は電気を通さない絶縁被体である必要があるため、測定でできる試料が限定されます。

テキスト
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