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株式会社ヒューマックスシネマ様「Mistika Ultima 8K」と「Dolby Atoms Home」を備えた新スタジオをオープン

カラーマネジメントとDolby Atomsを武器に新スタジオ「HAC SHIBUYA」オープン
~徹底したデータマネジメントから生まれるこだわりのクリエイティブ~

ヒューマックスシネマが稼働させた「HAC SHIBUYA」(東京・渋谷区)は、8K対応のフィニッシングシステムであるSGO社「Mistika Ultima 8K」と、9.1.4chの「Dolby Atmos Home」を備えた新拠点だ。従来から培っている編集からMAまで一貫したデータマネジメントのノウハウを生かし、クオリティにとことんこだわった作業環境を実現している。渋谷区神南に展開するHAC SHIBUYAを取材しました。(取材:月刊ニューメディア編集部)

株式会社ヒューマックスシネマ様

http://www.hacstudio.com

 

お話しをうかがった方

株式会社ヒューマックスシネマ HAC事業部 部長 倉本 勝則氏(右から3番目)
                     渋谷 営業 マネジャー 稲葉 和秀氏(右から2番目)
                     渋谷 システムマネジャー 市川 有人氏(左から3番目)
                     渋谷 MA チーフミキサー 嶋田 美穂氏(左から2番目)

※写真両サイドは弊社営業部南雲(一番右)、技術部蛸島(一番左)

究極の映像の臨場感へ挑戦

「超高精細映像と空間音響が合わさることで生まれる高い臨場感をもつコンテンツ制作に取り組んでいくことで、今後加速していく新しい形のメディアへ新たな挑戦をしたいと考えました」(稲葉氏)。
ヒューマックスシネマのポストプロダクション業務を担当するHAC事業部は、新宿・富久町にスタジオを配置し、長尺の音楽ライブ・番組、ドラマなどを中心に展開してきた。一歩離れた渋谷区神南に新スタジオを用意したのは、正しく新たな挑戦と言えるだろう。一方、スタジオ設計の考え方はこれまで培った内容を引き継いでいる。長尺コンテンツを得意としてきたHAC事業部が強くこだわってきたのが「効率化」。徹底したデータマネジメントに伴う、無駄のないスタジオ設計だ。
「データを効率的に取り扱うことは、我々にとって長く悩まされた基礎的な課題。コピー回数を減らしたり、無駄な帯域・ストレージを使わなかったりと、長尺コンテンツを取り扱う上でクリアしたいテーマでした。その課題に取り組んでくれたのがレスターコミュニケーションズで、実際に『Mistika』はそうした課題を解決する機能性を持っていました」(市川氏)。ヒューマックスシネマHAC事業部では、新宿のスタジオでもMistikaを採用。データマネジメントにおける有用性をすでに確認してきた。
「Mistikaはカメラごとの特性を変化させない。フォーマットはもちろん、色域、ガンマ、光量などのデータを変えることなく、上手にクリエイティブへ持っていく。データ容量の大きいファイルベース時代の素材管理において極めて有効です」(市川氏)。
また、Audio Suiteでは、新宿のスタジオで培ってきた5.1ch、7.1chをベースに、音楽コンテンツや動画配信サービスに幅広く対応しているDolby Atmos Homeを選択した。こうした既存スタジオの特性を受け継ぎつつ、さらに「広色域・HDRを意識したカラーマネジメント」「オブジェクトベースの空間音響」に対応したのが新スタジオHAC SHIBUYAというわけだ。

 

8K Suite-1・2に導⼊されている8K対応フィニッシングシステム SGO Mistika Ultima 8K

 

作業効率向上を追求した「SANシステム」

HAC SHIBUYAは、SGO社「Mistika Storage Solution」(768TB×3、120h:8K60p)を軸とした「SANシステム」が特長。
「8K非圧縮のオンラインデータ共有に対応する大容量センターサーバをどうデザインするかがポイントでした。3台のMistikaに対して必要な帯域を一つのボリュームで確保するのは物理的に難しい。それを実現するために新宿のスタジオでも採用しているSANシステムを採用しています」(蛸島氏)。

一般的な8K編集機では、ワークデータを保存する領域を共有できないため、単純なデータの出し入れに膨大な時間がかかり業務効率が落ちることが多い。HAC SHIBUYAでは、ファイバーチャンネルスイッチを通してファイル共有が可能なSAN環境を構築したことで、編集側の端末は任意のストレージボリュームをマウントが可能となり、業務効率の大幅な向上を実現しているという。
「市川さんとは新宿のスタジオ設計から効率化のデザインについて検討しており、データ共有を低コストで高効率化するためには、ネットワークの階層化が最適という考えに至りました。最上位にファイバーチャンネルスイッチを置き、その下に高速アクセスが可能な25G/100Gネットワークを置く。一方で外にもつなげられるセキュリティ管理された汎用1Gネットワークを用意することで、高スループットが必要な環境と、セキュリティ管理された環境を分けて利用できます」(蛸島氏)。
すべて32GのFCで繋げられることが理想だが、それでは高負荷アクセスの集中により無用なサーバートラブルを引き起こしてしまう。限られた帯域を必要な端末に効率的に振り分けるためにも、「適材適所」でネットワークを階層管理することがシステム設計の大きなポイントとなっている〔図〕。




効率化を図ることでクオリティを上げる作業環境

新スタジオの大きなテーマの一つがカラーマネジメント対応の強化だ。「(新宿で)MistikaとNukeを使ってしばらく実験し、その集大成をHAC SHIBUYAに持ってきました」(市川氏)。システム設計のポイントは従来と同じく「効率性の追求」にある。「OpenColorIO(OCIO)を使用し、カラーマネジメントをMistikaでコントロールすることで、Nukeにファイルを渡してもグレーディングが変わらずに戻ってきます。ガンマが変わってしまうと戻ってきて修正という作業が発生し、ロスが多く余計なストレスもかかる。こうした作業の無駄をなくすことが、クオリティの向上につながります」(市川氏)。
データマネジメントを徹底し業務全体の制作フローの効率化を図るのは、コピー時間を省くことで顧客を待たせる時間をなくすなどのサービス面もあるが、それ以上にヒューマックスシネマが重視しているのは「クオリティの向上」。無駄にかかっていた時間を別の作業時間に回すことで、より高い品質で提供しようという狙いが大きい。「クリエイターが有効に時間を使って、モチベーション高く作業に当たれる環境は極めて重要。無駄な作業でストレスがかかり、モチベーションを下げた状態で作業する環境はデメリットしかない。だからこそ、スタジオ設計においては効率性を特に重視して設備強化に努めてきました」(倉本氏)。
レスターコミュニケーションズ側の視点で見ると、HAC事業部が展開してきた投資コストと効率性のトレードオフは参考になる面も多いようだ。「部屋単位でSIの仕事をもらうことは多いが、その場合は部屋と部屋との連携がネックとなり、結果的に後から間にスイッチやセンターサーバを置くなどコストが余計にかかってしまうことがあります。早いタイミングからSANシステムを導入し、スタジオトータルの効率化を図ってきたヒューマックスシネマHAC事業部の取り組みを、参考にするポスプロが今後増えるかもしれません」(南雲氏)。

PMC社製スピーカーを採⽤した9.1.4ch Dolby Atmos Home対応のAudio Suite

 

 

Audio SuiteはDolby Atoms Home「9.1.4ch」を採用

HAC SHIBUYA新設にあたり、導入設備の選択としては7.1.4chの構想もあったが、試聴と議論を重ね、結果オブジェクトベースの表現力がより生かされる9.1.4chを採用。 スピーカーには低域に躍動感があり中高域の解像度が高く、奥行きが見えるPMC社製を選択。スピーカー数が増えたこととその音質へのこだわりによって、音の繋がりが更にスムーズに表現され、繊細な音響空間が生み出される。

「当初から空間音響に対応したものをと考えていました。Dolby Atmosは表現力の幅が広がり、映像に新しい命を吹き込むことができます。再生できるデバイスも増えてきているので多くの人に豊かな空間音響の世界を届けたいと思います」(嶋田氏)。

ヒューマックスシネマHAC事業部は、映像・音響ともにクオリティの向上に取り組んでいる。レスターコミュニケーションズが用意するMistikaをはじめとしたSGO製品の機能性と、Dolby Atmosによる音響表現の幅が合致して生まれた、大容量データ時代に無駄なく活用できる編集スタジオ。いよいよ本格化する8K時代にどのような活躍を見せるのか、今後の展開に注目が集まる。

(月刊ニューメディア 2021年9 月号掲載)

 

お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

 

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