株式会社テレビ朝日様「ファイルベース収録システムと既存MAMシステムとの連携を構築」
~テレビ朝日が東京2020大会で運用~
(取材:月刊ニューメディア編集部 / レポート:高瀬徹朗・放送技術ウオッチャー)
株式会社テレビ朝日様
お話しをうかがった方
株式会社テレビ朝日 技術局 設備センター 松本 英之氏
「先行導入」ならではの課題を解消
テレビ朝日 松本氏
テレビ朝日がスポーツ中継用ファイルベースシステムを導入したのは2012年。スタジオ収録や編集設備をファイルベース化したのが2019~2020年であることを考慮すると、局内ではかなり先行した導入事例だった。
「先行して構築したため、基本的にはシステム単独で完結していた。翌2013年にアーカイブ機能を追加し、さらに2016年にはLTOを用いたテープライブラリのシステムを 追加したが、後付けとなるだけに、どうしてもユーザーの使い勝手が落ちる。そうした使い勝手を解消しつつ、2019~2020年に導入した局内のファイルベースシステムとも連携を図れるシステムへの更新を模索しました。」(技術局設備センター・松本英之氏)。
松本氏がとりわけ強く要望したのが、メタデータ入力機能の改善と、Dalet社のMAMを利用して構築されたLTOテープライブラリシステムとの連携した素材管理運用だ。 これらを解決する手段としてレスターコミュニケーションズが提案したのは、「Avid FastServe|Ingest」と「AvidCAPI」だった。
Avid社製品を提案したのは、連携先の編集システムにAvid製品が多く導入されていたこと、また、前システムの編集用に多く導入されていた「Adobe Premiere Pro」との親和性を確保できることなどが挙げられるが、今回のシステム更新において最も大きな役割を果たしたのは「Avid CAPI」のテレ朝向けカスタマイズだ。
▶システム全体構成図
「Avid CAPI」をテレ朝向けにカスタマイズ
「上位システムとのメタデータ連携を図りたいという要望を受け、Avid社とも相談の上でAvid CAPIの新機能を開発しました。タリー連携やスケジュール収録、低解像度ファイルによる追いかけプレビューなどの既存の機能に加え、Dalet社のMAMとのメタデータ連携を図れる機能を新規に開発し、ニーズに合わせてUIも使いやすく改修しています」(レスターコミュニケーションズ・藤元)。
Avid社の協力が得られていたり、導入されていた設備の多くがAvid社製品だったりと有利な条件が多いようにもみえるが、システム構築において導入時期の異なるシステム同士を連携させるのは困難な作業だ。特にDalet社のMAMとの連携はかなりハードルが高いとされるが、「『Dalet Galaxy』の経験が十分に当社にあったため、問題なくニーズにお応えすることができました。」(藤元)という。※以下Avid CAPI UIイメージ図
また、テレビ朝日では、2019年、それまでアナログ運用されていた音声収録のシステムをIP化する「FUマトリクス」を導入。アナブースとMA室、編集室をIPベースでつなぐことで運用性を飛躍的に向上させたが、こちらもレスターコミュニケーションズがタックシステムと共同で行った仕事だ。「ポスプロ周りなどもよく担当されているので、仕組みやニーズをよく理解しているという印象。正直、とても頼りにしています。」(松本氏)とレスターコミュニケーションズを評価。
ハードウェアからソフトウェア、クラウド活用など、放送設備に新たな潮流が訪れる中、放送局とシステムインテグレーションをサポートする代理店の「新たな関係性」としても注目すべき事例だろう。
▶「FUマトリクス」システム図(イメージ)
(月刊ニューメディア 2022年 4月号掲載)
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共有ストレージ(Avid NEXIS)
Media Composerはもちろん、ProTools、EDIUS、Premiere等のサードパーティーツールとのシームレスな共有化が図れ、信頼性・拡張性の高いストレージシステム。