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株式会社テレビ朝日様

tvasahi

テレビ朝日に「テレビ朝日360°」と呼ぶ経営計画がある。地上波、BS2K・4K、CS、AbemaTVなどのネット配信、六本木のメディアシティなどにコンテンツを展開する戦略で、2017年度から動いてきた。それに合わせるように大規模な運用フローの見直しと、放送設備のファイルベースフローへの移行に取り組む。番組制作フローで実現したMAM(Media Asset Management)管理による「プロダクションサーバーシステム」構築などを技術局設備センターの白波瀬武史氏と松本英之氏に聞いた。
(文・写真:月刊ニューメディア編集部)
https://company.tv-asahi.co.jp/

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テレビ朝日ファイルベースワークフロー移行

MAM機能搭載の「プロダクションサーバー」概要

2015年からファイル化を全社で検討

白波瀬様
  株式会社テレビ朝日
  技術局 設備センター
  コンテンツ制作システムグループ
  白波瀬 武史様

「2019年4月に『完パケ流通』『アーカイブ』『番組制作』のそれぞれのワークフローを三位一体でファイルベースに移行した」と白波瀬氏は話す。以前の制作現場の様子として、「第1スタジオ(1スタ)を始めとする収録スタジオではHDCAMテープがあふれ、制作スタッフは素材の取り合いやダビング時間で悩んでいた。それらを解決するためにファイル化が有効だとはわかっていたが、なかなか着手できずにいた。その理由は、一部の設備をファイル化しても、周辺システムとのやり取りでテープベースのフローがあるなど、せっかくの効率化も一貫性が生まれない。そのために全社規模でのワークフローの見直しという大作業が必要だとわかっていたが、二の足を踏んでいた」と振り返る。
しかし、迷っている時間はなくなってきた。「HDCAMテープのプレーヤー生産が終わり、機器メンテナンスを2023年に終えることから、その検討は待ったなしというスケジュールが見えた」と松本氏。そこでテレビ朝日は、2015年よりファイル化推進を検討する全社プロジェクトを立ち上げた。そこでは「全体効率化を図る」という狙いでワークフローを徹底的に検討してきた結果として、前述した三位一体の同時移行に踏み切ることにしたという。これを後押したのが、「テレビ朝日360°」という考えであった。

「初めに地上放送ありき」を捨てた

松本様
  株式会社テレビ朝日
  技術局 設備センター
  松本 英之様

放送局は、ネット配信や番組販売などの二次利用に至る素材管理から配信などの流通まで多様化した展開に向き合っている。そこで、白波瀬氏と松本氏がともに強調したのが、「これまでの常識を捨てる」という発想の転換である。「放送素材はまず放送のためのスタンバイ部門に搬入という概念を捨て、地上波のマスター番組サーバーも、ネット配信用の素材管理サーバーも同じ分配先の1つとして位置づけた」と白波瀬氏が説明するように、「みんなが自由に、効率良く使えることを
基本の考え方にした」という。素材ファイルの民主化と言える大転換だ。
スタジオ収録においては、実は、もう一つの選択肢があった。それはディスクメディアXDCAMの導入だが、「素材をサーバーに取り込むデジタイズ時間が必要なこと、部門間の相互連携もメディアの受け渡しフローとなり、長期的なスパンで判断して採用を見送った」と松本氏。
新しい番組制作のソリューションは、スタジオやロケ先などからの搬入素材を速やかに社内のMAMに取り込み、分配できる仕組みである。この結論に至る過程において、「グループのポスプロ会社にも参加してもらい、制作技術と放送技術のメンバーが一つとなった設備センターとも一緒に議論をしてきた」(白波瀬氏)とフラットな関係の場があったと言う。
関係する全メンバーがフラットに話し合うことで得た互いの信頼感は、フラッグシップのスタジオである1スタ・サブの更新作業で発揮された。245坪の広さと、ドラマやバラエティの収録、生放送の音楽番組、大型特番をこなす高い稼働率との戦いを強いられた。工期の長い照明設備の更新を行いながら、サブ工事期間中でのスタジオ先行稼働や、異なるフロアのサブから1スタをコントロールするなど、綱渡り的な工期管理で乗り切ったのである。ここあたりフラットな話し合いがあったからではないだろうか。 

MAMを軸にするプロダクションサーバー

本社、ARKのスタジオ収録を行う「スタジオ収録サーバー」(EVS XS-VIA)、素材管理やプレビュー、トランスコード、各種連携システムのインターフェイスを受け持つ「MAMシステム」(Dalet Galaxy)、「素材サーバー」(EMCIsilon)などで構成されているプロダクションサーバーに注目した[※システム概要図参照]。スタジオ収録の素材だけでなく、アーカイブ素材やロケ素材、持ち込み素材などのインジェスト、デジタイズ機能を統合し、本編集とオフライン編集用の素材を包括的に管理して提供できるようになっている。収録サーバーに入った素材は、ネットワークを介して本社の素材サーバーに追っかけ転送され、持ち込まれたロケ素材や、アーカイブから出庫された素材とともにMAM上で管理されている。
ここで改めてMAMの役割を整理しておくと、映像・音声素材に加え、関連するメタデータ、スケジュール、別フォーマットへの変換などをひも付けて、格納する素材を包括的に管理するシステムである。
さらに、全社共有素材をファイルアーカイブにオンライン保存する機能や、アーカイブからオンラインで貸し出しを受ける機能、各番組が保管する収録素材をODA(Optical DiscArchive)などのアーカイブメディアに保存できる。
システム全体の一つのポイントである収録のコーデックは、編集コーデックのAppleProResやAvid DNxHD/HRや、XAVCにも対応できる。ダイレクトに記録しながら、同時にオフライン編集用素材も生成することで収録後のデジタイズ作業を大幅に削減している。
外部ポストプロダクションとのデータ連携では、専用線かファイル転送サービスのオンライン転送を基本に、メディアに書き出して運搬することにも対応している。
スタジオ収録サーバーは、本線系としてEVSのXS-VIA、予備系としてAJA VideoSystemsのKi Pro Ultra PlusおよびKi ProRackを採用し、4Kモードに予備系も対応している。しかも、予備系は本線系と連動した収録ができる。「この連動機能は独自のもので、システム構築を担当したレスターコミュニケーションズ(旧:共信コミュニケーションズ)さんがソフトウェアを開発してくれたおかげ」と松本氏は喜ぶ。
そして、サブ収録終了後の素材サーバーに、本編集用ハイレゾ素材、オフライン編集用素材、プレビュー用低解像度素材(1280×720)の3種類が用意される。
素材管理サーバーは、MAMサーバー、トランスコード・QCサーバー、共有ストレージで構成されている。Dalet Galaxy のMAMアプリケーションでは、収録サーバーから転送された素材を、メタデータを元に番組・話数・収録日で管理し、検索やプレビューだけでなく、ポスプロ転送・HDD書出し等の業務指示ができる。また、収録素材だけでなく、アーカイブシステムやインポート端末から取り込まれた素材なども一括管理する。
メタデータの作成は自動と人手で行われている。ファイルIDやファイルパス、申込者、素材概要などのデータ項目がXML形式で用意されてファイル連携に活用されている。

システム概要図

信頼できる専門業者は必須のパートナー

今までのワークフローを大きく変えるという一大挑戦には、パートナーとなる外部の専門業者が重要な役割を果たしている。その選定にあたった白波瀬氏と松本氏は「レスターコミュニケーションズさんを選んで間違いはなかった」と話す。その要因の一つが、EVSの導入に詳しいこと、編集事情に精通していることで、レスターコミュニケーションズの実績が寄与したと言える。松本氏は「ポストプロダクションを巻き込んでの挑戦だったので、そのあたりの考えをいち早く理解してもらえたことが心強かった」と評価する。
テレビ朝日はファイルベース化を基盤にした放送設備で、放送とネットの2つのメディアを軸にコンテンツのさまざまな運用に対応していく。かつて放送技術は映像専門の技術として進化してきたが、今日では汎用技術であるIP化が更なるデジタル進化を押し上げる。そうした汎用性で培われた新たな技術を生かすために、信頼できる外部の専門業者との連携は欠かせない。そういう意味でもテレビ朝日は「360°」なのだろう。

お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

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